The Angler

晴天は釣り、雨天はサックス。

田中 眞三さん

私がフライフィッシングを始めるきっかけになったのは、昭和60年に家業継承の為に期せずして東京から生家の山梨への帰郷した事情からでした。

暫く釣りから遠ざかっていたのですが、当時たまたま息子が始めたバス釣りに同行したのが契機となりいつしか自分もロッドを手にするようになっていました。

息子同伴の釣りをしばらく続けてそろそろバス釣りが見えてきた頃、甲府のフライ・フィッシャーが一目置くフィッシングポンド「竜が池」の存在を知りました。

思い立ったら即行動の性分で早速「竜が池通い」が始まりました。

今度はバスならぬマスを釣る、大人の釣りであるフライフィッシングに俄かに目覚めてしまい我ながら見事にどっぷりとはまってしまいました。

竜が池通いを続けた成果もあり、まがりなりにもフライフィッシングで釣りができる段階に到達した頃、「本栖湖のスーパーブラウントラウト」の噂がきこえてきました。

自分の射程範囲にワカサギを鱈腹捕食して巨大化したモンスターブラウンが悠然と回遊している光景を頭に描きながら、竜が池ご用達の10フィート#6を引っ提げていざ本栖湖に出撃するが、結果は奮闘むなしく轟沈!

本栖湖の釣りを始めて、まず気づいたのはタックルに問題がある事です。

広大で強風にさらされるフィールドではマイウェポン10フィート#6のシングルハンドロッドではあまり役に立たず、よりもっと遠距離を射程できる強力なツーハンドロッドが必要でした。

そこでニューウェポンとしてお馴染みのHardy社のツーハンドロッドを数本調達して本格的に本栖湖の大物狙いの釣りをはじめました。

その後数年間本栖湖を中心に止水のツーハンドの釣りを楽しみながらも、当時注目されつつあったスペイキャストを何とか覚えた頃から自分が使っているタックルに対しにわかに漠然とした疑問符が生じてきた様におもえます。

「今のロッドも悪くないが、何か今一つシックリこない」といった沸々した言葉にならない物足りなさが有りました。

そこで生来の好奇心が頭をもたげ出して、いろんなロッドメーカーのツーハンドロッドを様々調べてはこれはと思うロッドは手当たり次第に試してみました。

やはりその中で最終的に行き着いたのはハンド・メイドやビスポーク・オーダーロッドで有名なBruce&Walker社のサーモン・ロッドでした。

B&Wロッドを実際に使ってみるとPowerlite, Parabolic, Norway, Hexagraph

どれをとってもそれぞれが個性的で私を満足させるに充分にして且つ余りあるとても底知れない深さを持ったロッドでした。

そんな経緯から何時しかNATURALの中島氏とご縁が出来て、釣りの交流をとおして自然と犀川に釣行を重ねる様になりました。

B&Wロッドを使って犀川の釣りをはじめてからは、止水の釣りから多様な流れの変化を読む本流の釣りを知ることで自身のフライフィッシングも大きく変わり、あらためて本来的なツーハンドの釣法の一端に触れた様に思えてきました。

今思えばそもそも犀川は初釣行から大変印象的でした。

その日は中島氏の案内で朝から入川していくつかのポイントを回っていましたが気が付くとあっという間に時間が過ぎて既に日没間際になっていました。

釣果が無いままでそろそろ納竿かと思いつつ、その日中島氏が使っていたヘキサグラフ14’3”ロッドをフライが付いたまま拝借して試しにキャストしてみました。

何とも不思議な独特のアクションに引き込まれてキャストに夢中になっている自分にはたと気が付き、このキャストで終わりにしようと思った瞬間でした。

夕日に照らし出されて赤黒く輝く水面が大きく揺らぎ、強引な手ごたえが伝わってきました。

犀川の見事なブラウンを手にして、とても充足感に満ちたドラマチックな初釣行でした。

還暦も過ぎて仕事も第一線から身を引いた今、雨の日の釣り人の嗜みの一つとしてサックスを始めてみました。

こちらは将来孫娘のウェディングで門出を祝う“じいじのサプライズ演奏”を密かに企んでいます。

これからは先ず日本の桜マスをはじめサケ・マス科の遡上魚も対象に加えつつ体力、気力が続く限り釣りができれば幸せと思っています。

 

2012年4月某日ナチュラルにて

My Favorite B&Wヘキサグラフスペイキャスター14’3”#9-10

(B&Wのモダン・パラボリックアクションロッドですが裏の顔サーモンキラーの凄味がくせになります。)